「賃貸のコストパフォーマンス×将来の居住性。壁を壊さず開放感を生み出した、賢いマンションリノベーション」
築48年の壁式工法マンション。構造壁が動かせず、配線や間取りに強い制約がある中、「将来の居住」と「現在の賃貸運用」を両立させるフルリフォームを行いました。
最大の課題である開放感の創出には、不要な間仕切りや大型クローゼットの撤去、照明のダウンライト化を駆使。キッチンは奥行きを60cmに抑えることで狭かった通路幅を解消し、使い勝手を劇的に向上させました。
コスト面では既存床への「ウスイータ」上貼りや、既存設備の有効活用で抑えつつ、アドバンスシリーズのスイッチプレートや特注の浮造り玄関収納など、要所にデザイン性をプラス。制約を技術でカバーし、新築のような明るさと機能性を備えた住まいへと再生しました。
- 時期
- 2026年3月中旬~5月中旬
- 期間
- 約2か月
- 内容
- マンションフルリフォーム
1. はじめに:築48年、壁式工法の難題に挑む

今回ご依頼いただいたのは、築48年という歴史を持つ3LDKのマンション。オーナー様が今後10年ほど賃貸として運用し、その後はご自身が戻って住まわれる予定という、中長期的な視点でのリフォームプロジェクトです。
この案件の最大の壁となったのは、マンションの「構造」そのものでした。壁自体が建物を支える「壁式工法」のため、主要な壁を撤去することができません。
さらに、コンセントボックスがコンクリート壁に埋め込まれていたり、配線ルートが固定されていたりと、現代の生活動線に合わせた設備の移設が極めて困難な状況でした。
「メインの壁を壊さず、いかに新築のような開放感を出すか」。プラスパーホームの技術者集団による、知恵と工夫の挑戦が始まりました。
2. 【LDK】「引き算」と「上張り」で叶えた開放的な空間
かつてのLDKは、大きなクローゼットがダイニングを圧迫し、和室の板張り天井や「虫食い天井(ジプトーン)」が、部屋全体をどこか暗く、重たい印象にしていました。
床の刷新:コストと品質の両立
メインフロアの床は、コストパフォーマンスを考慮しつつ、質感を高めるためにPanasonicの「ウスイータ(ウォッシュドオーク柄)」を採用しました。既存のフローリングの上にわずか1.5mmの厚さで上貼りするため、貼り替えに伴う解体費用や廃材を抑えられます。枠回りも白ベースで塗装し直したことで、視覚的に膨張し、部屋が数畳分広くなったような明るさを実現しました。
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構造壁に囲まれたダイニングの開放
壁が壊せない中、ダイニングを広くするために行ったのは「不要な収納の撤去」です。圧迫感のあった大型クローゼットをあえて取り払うことで、壁式工法特有の「囲まれている感」を払拭し、ゆとりある食卓スペースを確保しました。
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天井の意匠変更
古さを感じさせていたジプトーンや和室の板張り天井は、すべて下地を組み直してクロス張りに一新。壁面と天井の色調をなじませることで、天井高が高く感じられる視覚効果を狙いました。
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3. 【Kitchen】「5cm」のこだわりが変えた、家事のゆとり
以前のキッチンは、流し台の奥行きが65cmあり、背後の通路幅がわずか90cmという非常にタイトな空間でした。人が一人立つのに精一杯で、冷蔵庫の開閉や通り抜けにもストレスがかかる状態です。
LIXIL「シエラS」によるサイズ調整
私たちは、あえて奥行き60cmのシステムキッチンを選定しました。「たった5cm」と思われるかもしれませんが、この5cmを通路幅に還元することで、キッチンでの動きやすさは劇的に変わります。
配管の位置を考慮しつつ、ガスコンロ下を「開き戸」仕様にすることで、限られたスペースでの収納効率も確保。 天板にはメンテナンス性に優れたステンレスの「シルクエンボス」を採用し、コンロ脇にはキッチンパネルを施工。狭い空間だからこそ気になる「油ハネ」のお手入れも、サッと拭くだけで済むよう配慮しました。
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対面配置の充実
キッチンの対面には、奥行きを抑えた浅型の食器棚を配置。家電を使えるようコンセントも増設し、調理から配膳までが流れるように完結する動線を整えました。
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4. 【Electrical】「不便」を「当たり前」に変える配線計画
築48年の仕様では、インターホンが台所の隅にあり、給湯器のリモコンがなぜか和室にあるなど、生活動線と設備の配置に大きなズレがありました。
技術で繋ぐ配線ルート
壁が壊せないため、配線の移設は困難を極めますが、私たちは天井裏や既存の梁の隙間、そして新しく設けたふかし壁などを利用し、露出配線を極限まで隠しながら使い勝手の良い場所へスイッチやリモコンを集約しました。 また、スイッチプレートには高級感のあるPanasonicの「アドバンスシリーズ」を採用。賃貸としての「見栄え」と、将来オーナー様が住む際の「満足度」を、こうした細部で高めています。
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照明のダウンライト化
玄関、廊下、トイレといった共用部は、圧迫感のある古いシーリングライトを撤去し、すべてダウンライト(DL)へ変更。天井がフラットになるだけで、空間の重たさが消え、スッキリとしたモダンな印象に仕上がりました。
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5. 【Sanitary & Entrance】細かな配慮が光る機能改善
水回りや玄関も、「そのまま使うもの」と「新しくするもの」を明確に分け、コストと満足度のバランスを取りました。
洗面室の再構成
洗面化粧台は比較的新しかったためそのまま活用。一方で、使い勝手が悪かった洗濯排水の位置を変更し、頭が当たりそうだった吊戸棚の向きと製品を一新。洗濯パンと給水を新しく設けることで、日々の家事がスムーズになる清潔感あふれるスペースへと生まれ変わりました。
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玄関収納の「浮造り」造作
玄関には元々トールタイプの巨大な収納があり、入った瞬間に暗い印象を与えていました。これを撤去し、奥行きを35cmに抑えた特注の「コの字型」下駄箱を設置。玄関ドアと干渉しないよう緻密に計算し、さらに床から浮かせて設置する「フロート施工」にすることで、玄関土間に広がりを持たせました。
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洋室のアップデート
洋室は古いカーペットを撤去し、防音性能を備えたダイケン「マイオトユカ45」へ。Panasonic「ベリテス」のイデアオーク柄の建具で全室を統一し、住まい全体にトータルコーディネートされた一体感を持たせています。
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6. おわりに:10年後を見据えた「価値」の提供
今回のリフォームは、まずは賃貸物件としての「収益性」と「客付けの良さ」を意識し、コストパフォーマンスを追求しました。しかし、同時に「10年後にはオーナー様がここでの生活を楽しむ」という大切なゴールを忘れませんでした。
「壁が壊せないから、この間取りで我慢する」のではなく、制約を技術で乗り越え、いかに「今の暮らし」にフィットさせるか。 完成したお部屋は、48年前の面影を残しながらも、機能性と明るさは最新のマンションに引けを取りません。 プラスパーホームはこれからも、技術者ならではの視点で、お客様のライフステージに寄り添った住まいづくりをご提案してまいります。
