築56年、60㎡の可能性を解き放つ。L型キッチンとガラス間仕切りで叶えた「光あふれる開放的な暮らし」
築56年、60㎡のマンションを、大人お二人が心地よく過ごせるモダンな住まいへフルリノベーションしました。
最大の課題は、縦に長く家具配置が難しいLDKと、瞬間湯沸かし器などの旧式設備、そしてプライバシー確保が難しい間取りの再編でした。
私たちはL型キッチンへのレイアウト変更と給湯設備の新設を行い、家事動線と広々としたLD空間を両立。
構造上外せない梁を基準にリビングと洋室を仕切り、3枚連動のガラス間仕切り戸を採用することで、
個室の独立性を保ちながら住まい全体に光を届ける開放的な設計としました。
露出配管を隠す壁のふかし造作や、洗濯機架台の製作など、
マンション特有の制約を技術で解消。
和室を機能的な洋室へと一新し、56年前の面影を感じさせない、
光あふれる機能的な住空間へと生まれ変わりました。
- 時期
- 2026年2月初旬~3月末
- 期間
- 約2か月
- 内容
- マンションフルリノベーション
- 予算
- 約520万円
1. 56年の歴史に、現代の息吹を吹き込む

築56年。高度経済成長期の面影を残すそのマンションは、頑丈な造りである一方、現代のライフスタイルとはいくつかの「ズレ」が生じていました。 60㎡という限られた面積。縦に長く、家具の配置が難しいLDK。今では珍しくなった瞬間湯沸かし器。そして、プライバシーを確保しにくい和洋折衷の間取り―
今回のご依頼は、大人お二人での新しい暮らしをスタートさせるためのフルリノベーションです。適度な距離感(個室の独立性)と、集まった時の心地よさ(LDKの開放感)の両立が求められました。そこで、今回はマンション特有の「構造上の制約」を一つひとつ紐解き、56年前には想像もできなかったような、光と風が抜けるモダンな住まいを形にしました。
2. 【LDK】「I型」から「L型」へ。レイアウトの正解を導き出す
以前のLDKは、壁沿いに長いI型キッチンが鎮座し、冷蔵庫や食器棚を置くとダイニングスペースが圧迫されるという、配置の難しさがありました。
LDK Before➡After


DK Before➡After


DK After


- L型キッチンの魔法
私たちは、あえてL型キッチン(LIXIL シエラS)への変更を提案しました。
対面キッチンに憧れはあっても、マンションで完全な対面式にすると奥行きを取りすぎ、リビングが狭くなってしまうことが多々あります。
そこで、キッチンの裏側に薄い「腰壁」を造作。
これにより、対面キッチンのようなコミュニケーションの取りやすさを確保しつつ、LDの広さを1cmでも多く残す「奥行き節約術」を実践しました。 - 瞬間湯沸かし器からの卒業と、給湯の新設
キッチンに直接ついていた瞬間湯沸かし器を撤去し、外壁側から新たに給湯配管を敷設。レンジフードのダクトも延長し、キッチンの位置そのものを最適化しました。これにより、キッチンのすぐ隣に冷蔵庫、対面にカップボードを置く「黄金の家事動線」が誕生。お施主様が「どこに何を置けばいいか」と悩む必要はもうありません。 - 床下配線の妙
テレビの配置も悩みの種でしたが、床下を這わせて新たにTVコンセントを新設。お二人がゆったりと食事をしながら、お気に入りの番組を楽しめる「食事+くつろぎ空間」を実現しました。
3. 【Interiors】「光」を通し、「プライバシー」を守る。ガラス間仕切りの選択
元々、和室と洋室が引き戸で繋がっていた間取りは、お互いの気配を感じすぎてしまうという難点がありました。
洋室 Before➡After


和室 Before➡洋室After


三枚連動ドア Before➡After


- 独立した二つの個室へ
今回のリノベーションでは、引き戸を撤去して間仕切り壁を新設。それぞれがパソコン作業や趣味に没頭できるよう、LANケーブルも各室に配線しました。しかし、単に壁で仕切るだけでは、隣接するリビングダイニングに圧迫感があります。 - 三枚連動のガラス間仕切りドア
そこでリビングとの境に採用したのが、LIXILの「ラシッサ」プレシャスホワイト・ガラス間仕切り戸です。 壁ではなく「ガラスの面」で仕切ることで、洋室側の窓からの採光を部屋の奥まで届けます。閉めれば静かな個室にもなり、開ければLDKと一体化した大空間に。視覚的な広がりと実用的な独立性を、この一枚の建具が解決しました。
4. 【Bedroom】和室から洋室へ。限られた空間を広く見せる「オープン収納」
和室を洋室へ作り替える際、一番の課題は「収納と広さのバランス」でした。キッチンのカップボードスペースを確保するために部屋の一部を削ったため、通常のクローゼットを作ると部屋がさらに狭くなってしまいます。
洋室2 洋服パイプAfter


洋室2 和室押し入れBefore➡洋室2クロゼットAfter


- 南海プライウッドのパイプシステム収納
あえて扉を設けない「オープンクローゼット」という選択。南海プライウッドのパイプシステム収納を設置し、服をかけることに特化させました。視界が抜けることで部屋の圧迫感を解消し、まるでお洒落なセレクトショップのような空間に。 - リアテックシートの職人技
既存の和室の窓枠はそのままでは「和」の印象が強く、新しいグレージュアッシュの建具と合いません。そこで、窓枠にサンゲツのリアテックシートを貼り込み、色合いを統一。コストを抑えつつ、細部までデザインを調和させる「技術者集団」らしいこだわりです。
5. 【Sanitary】ブロック壁と配管。マンション特有の難題をクリアする
築56年のマンションにおいて最大の壁となるのが、水回りを囲む「コンクリートブロック壁」と「露出配管」です。これらは容易に動かすことができません。
Before➡After 洗面室


Before➡After 洗面化粧台カスタムバニティ/洗濯架台


- 配管を隠す「ふかし壁」の技術
洗面台の背面やキッチンの裏に露出していた配管。これらを隠すために、壁を数センチだけ手前に出す「ふかし壁」を施工しました。このわずかな厚みの調整が、仕上がりの「スッキリ感」を左右します。 - 造作風デザインの洗面台「カスタムバニティ」
洗面台にはLIXILの「カスタムバニティ」を採用。ピアラのハイバックガード(水はねしにくい機能性)を持ちながら、カウンターは造作家具のようなスタイリッシュなデザイン。シマンホワイトのカウンターと、プレーントープの洗面器が、清潔感の中に大人の落ち着きを演出します。 - 洗濯機架台の造作
「洗濯排水をユニットバス側へ流したい」というお施主様のご要望。排水の勾配を確保するため、ユニットバスの床よりも高い位置に洗濯機を置く必要があります。私たちは現場の寸法に合わせ、専用の「洗濯機架台」を造作。既製品では対応できない現場のニーズに、大工の技術で応えました。
6. 【Entrance】規格品×工夫。郵便受けを活かす設計
玄関収納は、トールサイズの規格品を選定。しかし、そのまま置くと壁にある郵便受けを塞いでしまいます。 私たちは、収納の下部にカウンターを伸ばす形で設計。郵便受けの機能はそのままに、鍵や小物を置ける便利なスペースを創出しました。毎日使う玄関だからこそ、こうした「ちょっとした不便」を解消することが、住み心地に繋がります。
Before➡After(下駄箱)


Before➡After


7. 【Conclusion】技術で超える、築年数の壁
築56年。不便が当たり前だと思われていた空間が、最新の設備と、何より「現場を知り尽くした知恵」によって、これほどまでに鮮やかに生まれ変わりました。
L型キッチンによる空間の有効活用。ガラス間仕切りによる光の共有。露出配管を隠す丁寧な仕事。 プラスパーホームが大切にしているのは、カタログを並べることではなく、お施主様がその部屋で過ごす「時間」をイメージし、技術で課題を解決することです。
「古いから無理だと思っていた」 そんなお悩みを抱える方にこそ、この60㎡の物語を見ていただきたい。築年数は、工夫次第で「風格」にも「価値」にも変えられるのです。
そんなお悩みも是非ご相談いただけばとおもいます。
